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イメルダ

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60~80年代に独裁者としてフィリピンに君臨したマルコス大統領夫人、イメルダ。
その美貌と華やかな振る舞い、亡命後に判明した想像を絶する贅沢や不正蓄財など、
センセーショナルな話題を振りまいてきた彼女が、初めて自らその半生を語ったドキュメンタリー。

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子供の頃から美貌と利発さで注目を集めたイメルダは、首都マニラで若き政治家マルコスと出会い、
10日足らずで電撃結婚。マルコスの大統領就任後はファーストレディーとして内政・外交両面で活躍する。
だが、国民を無視した文化センター建設など独善的な政治が災いし、信用は失墜。
戒厳令を敷き20年もの間、権力の座にとどまるが、86年、遂に失脚。ハワイへの亡命を余儀なくされる。
その後、宮殿に残された3000足の靴に象徴される数々の贅沢や800億円に上る不正蓄財が明らかになった...。

現在のイメルダを伝える取材映像とこれまでの歩みを振り返る記録映像、二方向からのアプローチで構成。
リアルタイムで彼女を知らない人間にも、独特の魅力を持つ人間性がよく伝わってくる。

構想から18年、総製作費100億円を投じて「M:I-2」のジョン・ウー監督が
壮大なスケールで三国志を映画化した2部作の完結編。
昨年公開され、興収49億円を叩き出す大ヒットとなったpart1に続き、
いよいよ三国志最大の激戦"赤壁の戦い"が幕を開ける。
  090410_redcliff2_main.jpgpart1で曹操に対して協同作戦で勝利を得た周瑜(トニー・レオン)、
孔明(金城武)率いる孫権・劉備連合軍。
雪辱に燃える曹操(チャン・フォンイー)は2000隻の軍艦を率いて赤壁に陣取る。
だが、水上の戦に不慣れな曹操軍には病気が蔓延、兵士が次々と倒れてゆく。
この逆境を利用して一計を案じる曹操。
その策略は的中し、劉備軍は孔明を残して撤退に追い込まれる。
兵力を割かれた孫権軍は孤立。
圧倒的不利な状況の中、周瑜、孔明らは知力と互いの信頼を持って曹操に立ち向かう。

何といっても見どころはクライマックスの赤壁の戦い。
長江が燃え上がる中、両軍の死力を尽くした戦いの様子が圧倒的な迫力で描かれる。
孔明の知力を物語る名エピソード"10万本の矢"も登場。
冒頭に簡単な説明が付くので、part1を見ていない人でも問題なく楽しめる。
  090410_redcliff2_sub02.jpg日本人が慣れ親しんできた三国志とは違い、本作では赤壁の戦いを
孔明の独壇場とは捉えていない。
周瑜、孫権、尚香、小喬など登場人物それぞれに活躍の場を与え、
全員が協力することで強大な曹操軍に立ち向かう物語としている。
そこで描かれるテーマは"信頼と友情"。
殺伐とした世の中にジョン・ウー監督が太古の英雄たちの物語を借りて伝えるのは、
人間同士の信頼が未来を切り開く力になるというメッセージだ。

吉川英治の小説や横山光輝の漫画とは展開が大きく異なり、
三国志ファンの中には違和感を覚える人もいるだろう。
だが、吉川版、横山版が存在するのと同様、本作は"ジョン・ウー版三国志"。
元々、数多くの三国志作品の原点"三国志演義"も歴史書を脚色した物語である。
ジョン・ウー流の三国志が存在してもいいはずだ。

そもそも日本人にとって三国志の魅力とは、
"中国を舞台に、数々の武将・豪傑が繰り広げる壮大な歴史ロマン"ではないだろうか。
だとすれば、劉備、関羽、張飛、趙雲ら名だたる武将たちがこぞって活躍する
「レッドクリフ」は、少しもその精神から外れるものではない。
むしろ、三国志を知らない人たちにもその魅力が伝わるように、
"三国志のエッセンスを集約した超大作"と呼ぶ方がふさわしい。

いずれにしても、このスケールで三国志を映像化した前例がないのは事実。
「トロイ」や「グラディエーター」などのヨーロッパ史劇を見る感覚で
ジョン・ウー版三国志を楽しんでほしい。

090410_redcliff2_sub01.jpg映画「レッドクリフ PartⅡ -未来への最終決戦-」
オフィシャルサイト:http://redcliff.jp/index.html
赤壁で、激突。 -信じる心が、未来を変える。
2009年4月10日(金)より、TOHOシネマズ 日劇ほか全国超拡大ロードショー
(C) 2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.


【映画ライター】イノウエケンイチ

1940年代の中国で繰り広げられた"国共内戦"を背景に、最前線で戦った兵士たちの悲劇を通じて戦争の愚かさを描く。監督はチャン・ツィイー主演作「女帝[エンペラー]」のフォン・シャオガン、脚本はチャン・イーモウ作品で知られるリュウ・ホン。撮影は「レッドクリフpart1」などのリュイ・ユエ。中国の一流スタッフが集結した大作である。

090119_requiem_main_01.jpg"国共内戦"に揺れる中国。グー・ズーティ(チャン・ハンユー)率いる共産党の部隊は、「撤退のラッパが鳴るまで、旧炭鉱を死守せよ」との命令を受ける。国民党軍の猛攻にさらされる中、負傷兵から「ラッパが鳴った」との報告を受けるが、真偽は不明だった。やがて、部隊はグーを残して全滅する。戦後、部下たちが英雄として葬られる戦死者ではなく、失踪者扱いされていることを知るグー。これに憤りを覚え、部下たちの遺体捜索を始めるが、その身は戦場での負傷から視力を失いつつあった...。

物語は部隊が過酷な戦闘を経て全滅するまでを描いた前半と、生き残ったグーが部下たちの名誉回復に人生を捧げる後半の二部構成で展開。それが成功し、戦争の悲劇を伝える力作となった。

前半、畳み掛けるように続く戦闘シーンはハリウッド大作にも引けを取らない迫真の映像で、兵士たちが辿った運命の過酷さを伝える。後半は一転、平和な時代に人々が安堵する中、部下たちの悲運を知るグーに絞り込んだドラマが展開。戦場跡で発見した遺品のヘルメットが、人々のトイレとして利用されていたことを知った彼の叫びは悲痛だ。
「兵士が被るものだぞ!」
前半の兵士たちを知る我々は、この言葉に込められたグーの思いを理解できるだろう。
だが、戦場を知らない人々に果たして伝わるのか?
世界中で日々続く紛争や戦争にまで拡大して考えてみよう。
果たして私たちはグーと同じように共感できるだろうか?

090119_requiem_main_02.jpg後半の展開がいささか駆け足になる感はあるものの、前半との対比が効果的で、戦死者たちの悲しみが胸に迫る。自らグー役を熱望したというチャン・ハンユーの演技も素晴らしく、映画初主演ながら中国のアカデミー賞に当たる金鶏百花賞で主演男優賞を受賞。酷寒の雪原で展開する前半に対して、後半は暖色系の風景を取り入れて映像のトーンを変えたことも、ドラマをより印象深いものにしている。

中国の歴史を背景にしているが、劇中では歴史的な背景や政治的なエピソードは一切語られない。あくまでも、戦場を経験した人間の視点というスタンスを貫いている。これによって本作は"中国の歴史"という枠を超えた広がりを獲得。この作品は、一人一人が戦争について様々に思いを巡らせるきっかけとなるに違いない。
  090119_requiem_main_03.jpg映画「戦場のレクイエム」オフィシャルサイト
http://requiem-movie.jp/
一人生き残り、すべてを背負う―。
2009年1月17日(土)よりシャンテシネほか全国順次ロードショー
(C)2007HuayiBrothersMedia&Co.,Ltd.MediaAsiaFilms(BVI)Ltd.AllRightsReserved.


【映画ライター】イノウエケンイチ